自習茶会at久良岐能舞台

自習茶会at久良岐能舞台

自習茶会の報告です。

へそ茶のメンバーは、色んな職種を持ったメンバーが集まっていますが、お茶会を開催する際にはそれぞれの専門的な能力を活かしつつも、その専門的な話をする事はあまりありません。そこで自分が活動している事を少し話したいと思いました。
私の場合は美術という事になるので、今回は美術をお茶室で楽しんでもらえるような会にしたいと思い企画しました。実際、お茶室は作品を鑑賞する場としても可能性を感じていただけに、どのように紹介するかは私なりに無い知恵を絞りました。
ですが、そもそもお茶事が出来ないという致命的な欠陥を抱えている私がやるのは、、、まあ、自習ですから良いのです!

茶室を借りる事もこんな機会があるからこそ。色々調べて選んだのは横浜市にある久良岐能舞台という所でした。横浜市磯子区にある市営の施設です。磯子駅からもバスで乗り継ぐので、都内からはちょっと遠いのですが、とても素敵な場所です。
当日、隣の部屋では篠笛のお稽古でこちらにも聞こえて来ます。

茶室に上がる前。管理人さんに教えてもらった人の顔に見える木の前で。
テレビでも紹介されたらしいのですが分かりますか?

水琴窟で癒やされているようです。

写真がボケていますが、ここから茶室に向かいます。

茶室に上がると。
軸の代わりにimagine peaceと書かれた小さなものが、不安定なバランスであり、
下にはグレープフルーツがデンと構えています。

釜の蓋の上にはグレープフルーツの皮が載せられていて、
そこからほのかな柑橘の香りが部屋を満たしています。

席に着いたところで、
今回はオノヨーコさんの「グレープフルーツ・ジュース」という本の中から
「月に匂いを送りなさい」という一節を取り上げたことを伝えます。

本の冒頭で戦時中、疎開先で食べるものも満足に得られない時、弟のために食べたい献立を考えて、イメージする遊びで飢えを忘れた話が出てくるように、
この本を読むと物が実際にある訳ではないのですが、イメージが豊かに膨らんでいきます。
私は詩に関しての感受性は乏しいのですが、これに出会ったときには感動しました。非常に短い文章で構成されていて、すべて命令形で書かれているのが特徴です。
人は命令されると、つい反発したくなると思いますが、この作品では心地よさすら感じるのが不思議です。ジョンレノンのイマジンはここからインスピレーションを受けたらしいのですが、それも分かる気がします。

話がそれました。何と無く想像がつくかもしれません、グレープフルーツを月に見立てている。香りが充満している。そして「月に匂いを届けなさい」と言う言葉から何かイメージが広がって行くきはしませんか?

先ずラム酒とグレープフルーツの生ハム巻きを頂いてもらいます。お茶の前にお酒が入ると、お茶が物凄く美味しいことをその前に知ったので、そうしたのですが、生ハム巻きはノリでアレンジしました。。。ラム酒を飲む器は私が作った光をのむための器。別名月を飲むための器で飲んでもらいます。


これで飲むと、最後の一滴が光の雫のようなものが体に入る感覚にさせるものです。
この作品は改めて発表しますので、詳細は割愛させていただきます。
月を呑み込んだところで、再び設えについて話を続けます。

と書かれたものはスタンプになっていて、昔ヴェニスビエンナーレにオノヨーコさんが出品していた作品です。このスタンプを使って壁に鑑賞者が押していくと言う作品であり、持ち帰ることができます。恐らく、それぞれに持ち帰ってもらい、そこでもこのスタンプが押される事を想像しながら作られたのではないでしょうか?
ここでは、壁にそっと置いているだけなので、何かあれば簡単に落ちてしまうようなバランスで設えています。これは適当にしつらえているからではなく、IMAGINE PEACEを実現させるためにはあらゆるバランス感覚によって成り立っている事と表す為にこうした展示の仕方をとっています。何だかこじ付けていると感じられる方もいるかもしれませんが、展示空間を一つ一つ検証する作業は美術作品を鑑賞する際、作品の意図を知る手がかりとして有効な方法の一つでもあります。

そんなオノヨーコさんに始まり、美術の鑑賞について触れながら、段々と色んな話に広がって普段話さないような深い話に。

最後はお茶を頂いて終了。林先生による指導で大月さんが 立ててくれました。
話に夢中で、釜のお湯が凄く熱くなっていて、お茶も持てない位でしたが、それも愛嬌ということで。

最後は管理の方から能舞台の説明を頂きながら堪能しました。